治験とは薬の効き目を臨床的に確かめる検定らしいが、若かった僕にはそんなことはどうでもいよかった
僕の周りには治験経験者が何人かいた
1～2週間、入院して病院で注射打ったり採血されるだけで30万近くもらえるという話を友人から聞いた僕はすぐにとびついた
3食つきで暇な時間はゲームしようが漫画読もうが何をしてもいいなんて、インドア派の僕がとびつかないはずがなかった
しかも検査で合格しなくても数千円の交通費をもらえるというのだから、すぐに友人と参加できるかどうかの検査に行った
部屋に10人くらいいたのだがみんな暗そうな顔をしていた
僕と同じような考えの人々が集まっているのだから必然である(失礼)
検査は聴診器当てられたり、問診や採血(されたかな？)くらいの検査だった
その後、治験っていうのはどういうものか、デメリットはどんなことがあるのかなど書いてある用紙を渡され、院長みたいな人がが説明しはじめたのだが
ぼそぼそぼそ、、、、、
全然聞こえねえww
いやいや、めちゃくちゃ静かなうえにそんな広くもない部屋でど真ん中の真ん前に座ってたのに
全く聞こえねえ、、、
結構大事な説明のはずだが、唯一聞き取れたのは
ぼそぼそ、、、、、失明が1名ぼそぼそ、、、、
え、今何て言った？失明？
用紙をよく見ると、今までにあった後遺症の実例に失明が1名と書いてあった
他にも症例が書いていたが、失明が強力すぎて忘れた
え、最悪失明すんの？やばくね？
一気に怖くなったが、大金だしそんくらいのリスクはあるか
と自分を納得させ家に帰った(金の魔力は恐ろしいものである)
後日、家に封筒が届いた
落ちた
え、落ちんの？検査なんて形だけでみんなできるんでしょ？と思っていたのに
あんな覚悟きめたのに？
恥ずかしいだろ
まさかの落選、僕は希望の船エスポワールに乗船すらできなかった
もちろん友人は受かった
そして2週間が過ぎ、27万を手に入れていた
うらやましいいいいいいいいいい
嫉妬に狂ったが僕は諦めなかった
それから4、5回ちがう治験の検査をうけた
全部落ちた、、、、
2泊3日とか1週間くらいのやつとか
頭にこんな
漫画に出てきそうな洗脳装置みたいな物をつけた検査もしたのに落ちた
人生は残酷である
しかしこうなると逆に自分の身体がに問題があるのかと不安になった
それから半年くらい過ぎたくらいに、友人に1本の電話が入った(1回入院すると半年くらいできないらしい)
｢今、空きがあるんですけど受けませんか？｣という電話だった
いわゆるヘッドハンティングである
ちっくしょおおおおおおおおおお
納得できない僕は電話中の友人に
｢前回一緒に検査うけた友人は何でダメなんですか？って聞いてくれ！｣と頼んだ
まあ個人情報だしそん事は教えてくれるはずがな、、
｢彼はちょっと脈がねー、、、｣
え？おい、なんだよ、脈がなんて？速いのか？遅いのか？ないのか？
そこまで口を滑らせておいてその先は教えてくれなかった
友人も1日3回の採血がいやだったらしく、それ以来やることはなかった
そして治験で貰ったお金もパチスロで全部スッていた
か、返す言葉が見つかりません
地道に働こうと心に決めた
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